よ:嫁の実家

私は中学の時に父がなくなり、母子家庭で育ちました。
経済的には苦しかったけど、私と弟は母を助けて慎ましやかに暮らしてきました。
父が亡くなったばかりの頃は悲しみのあまりに、自分の境遇を怨んだりしましたが、
高校くらいからはほとんど意識しないようになりました。
それだけ、周囲の人に恵まれていたのかもしれません。

「あんたは母子家庭で育って、人格が偏っている。」
「これだから、母子家庭で貧乏人は困る。」(畑や土地など資産を持っていないということ)
「あのうちの嫁さんは育ちがいいから、あんたとは違う。」
「あのうちの嫁さんの実家の親は○○だ。(医者とか教師とか)だからあんたとは違う。」
などと、露骨に舅に言われるようになって、
ああ、私は母子家庭育ちなんだ。育ちが悪いんだ。
と思い込まされました。

そして、明るかった私は、次第に卑屈になっていきました。
「どうせ私は育ちが悪い。」
「どうせ私は母子家庭。」
「どうせ、どうせ・・・・」

昔の、嫁いびり的な事が、今現在もあるなんて!
その現実自体に驚いてしまいました。
そして、そのいじめにまんまとはまった自分が情けない。

育った環境が人格や性格に影響を与えるという事は、確かにあるかもしれません。
でも、全てじゃないと思います。
貧しくたって、家庭的に恵まれていなくても一生懸命生きている人はたくさんいます。
それらを全てパワーに変えてしまう人だってたくさんいます。

今、世の中はあらゆる差別をなくしていこうという動きがあります。
差別によって人が人を見下したり、いじめたり、軽蔑したりすることをなくしていこうと。
本当にすばらしいことだと思います。

でも意外にも、のどかな農村地帯で古い風習の残る地域ほど、陰湿な差別意識が根付いているように思えます。
おじいさんおばあさんの代からの知り合いであるが故に、家同士の格付けが、暗黙のうちに出来上がっているのです。
資産家や政治家、医者、教師などは、必要以上にたてまつられ、農家は土地をもっているという強み、そして、弱者は見下される。
そんな日頃の考え方が、対嫁の実家にも適用されているようです。

嫁の実家の悪口。言われたほうはもちろん辛い。
でも言っている舅姑はどういう気持ちで言っているのでしょうか?
育った環境なんて、自分ではどうしようもないことがたくさんあります。
私だって、好きで母子家庭になったわけじゃないのです。
そんな、どうしようも出来ない事で攻撃してくる相手は卑怯であり、かわいそうな人間です。

そんな卑怯者でかわいそうな人間を相手にマジメに悩んだり相手にするのはもうやめて、
今の自分を素直に生きればいいのだと思います。
「育ちが悪いって具体的にどういうところ?」
「母子家庭でどこが悪い!?」

自分自身が、清く正しく美しく!
理不尽なイジメにはへこたれない!
あなたたちみたいな低レベルなことを私は気にしていない。
という信念をもてば、いじめや嫌味にも余裕をもって、
適当にあしらうことが出来るでしょう。

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